黒潮だよりNO.68「迫る盛土規制強化!豊橋市で始まる新たなルールと農地への影響とは?」
愛知県と豊橋市における「盛土規制法」の運用について
2023年5月26日に施行された「盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)」は、土地の用途や目的にかかわらず、全国一律の基準で盛土の危険を包括的に規制する法律です。現在、愛知県全体では基礎調査が進められ、規制区域の指定に向けた作業が行われています。しかし、名古屋市や豊橋市などの政令市、中核市は除かれています。この新たな規制区域が指定されるまで、改正前の「宅地造成等規制法」が引き続き適用されます。
豊橋市における盛土規制法の運用
豊橋市では、2025年1月1日から盛土規制法の運用を開始する予定です。市全域が「宅地造成等工事規制区域」として指定され、以下のような内容が適用されます:
規制区域の指定:豊橋市全域が「宅地造成等工事規制区域」として指定されます。これにより、盛土による災害(崩壊や土石流等)から市民を守るための新たな規制が導入されます。
許可対象工事:規制区域内で盛土を行う場合は、豊橋市長の許可が必要です。許可対象の工事には、2mを超える盛土や500㎡を超える土地の形質変更が含まれます。
届出義務:2025年1月1日時点で工事が進行中の場合、その工事が許可対象の規模であれば、区域指定日から21日以内に届出が必要となります。
現状の問題点
しかし、規制の導入に伴いいくつかの問題が発生しています。
残土の流入増加:静岡県では盛土条例が先に施行されたため、愛知県への残土の流入が増加しており、県境地域でその影響が顕著に現れています。
農地の不適切な利用:残土を「土地改良」として農地に搬入する事例が増加していますが、その多くは農業に適さない石や建設ガラが混入しており、農地改良の目的とは程遠い内容です。
許可基準の問題:今後、一定以上の高さの農地改良は許可の対象となりますが、盛土規制法に基づく許可基準が適用されるため、農業に支障が出る可能性が指摘されています。
対応策
農地所有者への注意喚起:農地所有者が業者からの安易な依頼を受け入れないように注意喚起を行う必要があります。
法や条例による制限の設置:現在の法律や条例では制限が不十分なため、行政によるさらなる規制が必要です。
最後に
農地を残土処理の場として利用する背景には、現代農業が儲からないという現実があります。農業が利益を生む産業であれば、農地は当然ながら生産の場として適切に利用されます。しかし、農業従事者が減少し、農業の収益性が低いままでは、農地の保全も難しくなります。これは、国の食料安全保障にも影響を及ぼす重要な問題です。
私も、これらの課題について行政に対して積極的に質していく考えです。今後も皆さんとともに、この問題に取り組んでいきたいと思います。