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活動報告

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黒潮だよりNO.71「子どもたちの可能性が輝く「地上の楽園」へ ―大清水小学校が描く未来の教育―』

今回は、豊橋市立大清水小学校の福井校長先生へのインタビューを通じて、新しい学校教育の可能性について、大変刺激的な話を伺いましたので、ご報告させていただきます。

■学校を「地上の楽園」に

福井校長先生は、「学校の先生になりたい気持ち半分と、こんな奴らみたいになるかって気持ち半分」で教員の道を選ばれたそうです。暴力で従わせるような指導に強い疑問を持ち、「そうじゃない学校にしたい」という思いで教育改革に取り組んでこられました。

■大清水小学校での具体的な取り組み

【40分授業制の導入】
従来の45分授業から40分授業に変更。「国が45分がいいよと言っているけれど、別に40分でダメということではない」と福井校長先生。実際、東京都中目黒の学校では40分授業で実施し、学力テストでも東京の平均を超える結果を出しているそうです。

【タブレットの活用】
タブレットを毎日持ち帰り可能とし、連絡帳も廃止。「文房具として自由に使える環境」を整備しています。例えば、学校行事で校長先生が仮装した際、1年生が自発的にタブレットで写真を撮影。「残しておきたい記録は、この機会に撮れば後で見返せる」という考えが、自然と子どもたちに根付いているそうです。

【主体的な学びの実践】
算数の授業では、画一的な例題と練習問題の繰り返しではなく、子どもたち自身が教科書から問題を見つけ出し、理解を深めています。分からないところは積極的に質問し、タブレットで自分の考えを共有。それを見た他の児童が「教えて」と声をかけ、教える側も考えを整理できる、という学び合いが自然と生まれているとのことです。

【児童会活動の活性化】
印象的だったのは、3年生の児童が「6年生が卒業するから、最後にみんなでお花見をしたい」と校長室をノックした話です。福井校長先生は「クラスで相談して、児童会の議会に提案してみたら」とアドバイス。児童会で一度は詳細検討を求められましたが、めげずに再提案し、実現にこぎつけたそうです。お菓子を持ち寄り、運動場に座布団を敷いて、桜は咲いていませんでしたが、みんなでレクリエーションを楽しんだそうです。

【宿題改革】
「みんな満点を取らなきゃいけない」という発想を転換。ある生徒は30点を目標に設定し、それを達成。福井校長先生は「よく頑張ったな」と固い握手を交わされたそうです。これまで全く宿題を出さなかった生徒が「30点なら僕にもできそう」と前向きになりました。

【行事改革】
マラソン大会では、順位を競うコースと自己ベストを目指すコースを選択制に。これは5年生の児童からの提案がきっかけでした。「運動が苦手な子も可能性を感じられる」と、福井校長先生は話されます。

■保護者との関係づくり

改革にあたっては、保護者への丁寧な説明を心がけたそうです。3回の説明会を開催し、ホワイトボードにまとめた内容を写真に撮ってもらい、「私たちの共通理解」として確認。一学期間は移行期間として自習室も設置。このような丁寧な対応により、現在では大きな混乱なく新しい教育が進められているとのことです。

■教育の本質を問い直す

福井校長先生は「学校は変わらない理由の1つに、文句を言われたくないとか、保守的なのがある」と指摘されます。しかし、「国はこういう学校に変えないと、子どもたちの未来が危ないぞ」と警鐘を鳴らしているにもかかわらず、多くの学校が変革を躊躇しているというのです。

■改革の成果

興味深いことに、このような改革を行っても、学力の低下は見られないとのこと。それどころか、「自分で発信する」「情報を整理する」「分からない時は分からないと言える」といった、これからの時代に必要な力が確実に育っているそうです。

福井校長先生は「人生に失敗はない。あるのは学びだけ」というメッセージを、常に生徒たちに伝えているそうです。

■広がる改革の輪

「やる気のある学校がたくさんあって、大清水を見させてくださいって来るんです」と福井校長先生。実際に、ICT教育などの面で、近隣の学校との連携も進んでいるとのことです。「オセロのように、だんだん色が変わっていく。もう変わらないの?って時が来るんじゃないかな」と、希望を語っておられました。

■今後の課題と展望

教職員の働き方改革との両立や、人事面での柔軟な対応など、課題はまだまだあります。しかし、「各学校が夢を持って、理想の学校を作りたいってチャレンジした方がいい」という福井校長先生の言葉に、大きな示唆を感じました。

私は、これからの時代に求められる教育のあり方を、大清水小学校の取り組みの中に見た思いがします。学校任せにするのではなく、地域全体で子どもたちの成長を支えていく必要があります。

今後も県議会として、このような先進的な教育実践を支援できるよう、しっかりと取り組んでまいります。

 

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