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活動報告

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いつまで続く産地間競争?「豊作貧乏」を脱するためには・・

農産物の産地間競争。本当にいつまで続くのだろう。

昨年末にJA豊橋の各部会長からコロナ禍における各品目の状況・課題をヒアリングする機会をいただいた。

「コロナ禍の影響はないとは言わないが、それ以前に品物の飽和状態による値崩れが起きている。」

こう話したのはミニトマトの部会長さん。

トマトやミニトマトは国の政策である「産地パワーアップ事業」の全国展開と震災等の後の復興支援として施設整備によって全国的に生産が増えた。同時に環境制御を付した施設の増加により、生産性は上がり、品質も安定した。

このような背景があり、価格低迷が続いているのだろう。

日本の農業はこれまで、農産物のほとんどを国内市場に振り分けてきた。利益の高い農作物があれば、それを全国で栽培し、飽和状態になると、他に利益の高い作物へと移行していく。この繰り返しだ。

私も就農していたころは、「他の産地が台風の被害にあわないかな。」などという不謹慎な考えを持ったものだ。たくさん、いいものを栽培したところで全国で豊作であれば、価格は下がる。いわゆる「豊作貧乏」というこの仕組みに常々疑問を抱いていた。

このことから思うことはそろそろ日本の農業も海外のマーケットを獲得していくべきではないか、ということである。

世界の食の市場規模は2015年に890兆円であったものが2030年には1360兆円になると予測されており、今後も拡大していくことが見込まれている。このことを意識して、国も2030年に農林水産物・食品の輸出額を5兆円を目指して取組みを始めている。先月の2月16日には重点的に輸出に取り組む産地を育成する「輸出産地」の第一弾を公表した。この輸出産地は手上げ方式で選んだとされている。

先日、「農林水産委員会」において、この事業の愛知県の状況を聞いてみたが、「鶏肉」、「鶏卵」、「野菜」がそれぞれ1産地、「菓子」4業者、「ソース混合調味料」1業者、「味噌・醤油」13業者、とのことであった。

野菜が1産地ということであり、青果物は加工食品とは違って日持ちなどの問題もあり、なかなか輸出は難しいと面があるとは思うが、やはり少ない。農業関係者に聞いてみても、「儲からない輸出に力を入れてもしょうがない。」との声が聞こえてくる。

それでもやはり、これからは海外を目指すべきだろうと思う。なぜならば、良いものをたくさんつくっても、それが評価されない業界はおかしいと考えるからだ。国内で争うのではなく、海外の市場を開拓し販売先を確保していくことが、「豊作貧乏」を脱する一つの方策だと思う。

1970年代、海外諸国は国内で過剰生産に陥った農産物を海外で処理することで対応していった。そのころの日本は減反政策などで国内の市場価格を調整していた。時が過ぎて、海外は各国の国家戦略として意識的に市場開発、商品開発をしながら輸出をおこなっている。一方、日本はこれから本格的に輸出に取り組むのだ。

今後の輸出の考え方としては、余ったものを売るのではなく、事業者が自信をもって売り込みたいものを海外の市場ニーズに合わせて生産していくことが重要であり、さらに主な産地が連携することにより、産地リレー等、通年で安定して商品を供給できる体制求められるのだ。

中途半端な気持ちで海外市場を開拓することはできない。本腰を入れて愛知県としても取り組むことを当局に申し伝えた。

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