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活動報告

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政策

農業を変える!知って得する「負担ゼロ」の農地整備術!

日本の農地問題と革新的な解決策の紹介

 現状認識
今回は、私たちの地域の重要な課題である「農地問題」と、その解決に向けた画期的な事業についてお話しさせていただきます。

現在、日本の農業は深刻な岐路に立っています。農業従事者の平均年齢は67歳を超え、後継者不足により、福井県とほぼ同じ面積の約40万ヘクタールもの農地が耕作放棄されています。

問題の背景
なぜ、これほどまでに耕作放棄地が増えているのでしょうか。その最大の要因は、農業の収益性の低下です。農産物価格が低迷する中、生産コストは上昇し続けています。このため、若い世代が農業を継ぐことを躊躇し、結果として後継者不足に陥っています。また、相続により農地が県外在住の親族に渡るケースも増えており、遠方からの管理が難しいことも耕作放棄地増加の一因となっています。

農地基盤整備の必要性
この状況を改善するためには、農地の基盤整備が不可欠です。整備された使いやすい農地であれば、生産効率が上がり、収益性の向上につながるからです。

従来の土地改良事業の実例
従来の土地改良事業の例として、私が携わった豊橋市東細谷地区の事例があります。この地区では102ヘクタールの農地を対象に約40億円をかけて基盤整備を実施しました。費用負担は国が50%、県が25%、市が15%、地権者が10%という割合でした。さらに国の要件を満たせば地権者負担を5%以下に抑えることも可能でした。

事業進展の障壁
しかし、なぜ土地改良事業はなかなか進まないのでしょうか。

その理由は主に二つあります。一つは、後継者がいない中で農地に投資する意欲が湧かないこと。もう一つは、たとえ5%でも地権者負担があることです。特に、相続で農地を引き継いだ遠方在住の所有者にとって、わずかな負担であっても投資に二の足を踏むケースが多いのです。

新たな解決策の登場
そこで、これらの課題を解決する画期的な事業として、平成29年度に「農地中間管理機構関連農地整備事業」が創設されました。この事業の最大の特徴は、条件さえ整えば地権者の費用負担が全くゼロという点です。現在、田原市和地太田地区をはじめとする県内5地区で事業を進めていますが、まだまだ活用の余地は大きいと考えています。

事業適用の条件
以下の条件を満たせば、費用負担なしで農地整備が可能です:
1. 農地中間管理機構への農地の貸し付け
2. 事業実施区域が10ha以上(1ha以上のまとまりが必要)
3. 担い手による経営が80%以上
4. 5年以内に収益性が20%以上向上

事業のメリット
この事業のメリットは、地権者の費用負担がゼロであることに加え、農地の維持管理の負担から解放されることです。農地を農地中間管理機構に貸し付けることで、確実に担い手に農地が集積され、効率的な農業経営が可能となります。

課題:低い認知度
しかし残念なことに、この有益な事業の存在を知らない農家の方が多いのが現状です。私が日々接する農家の皆さんの中でも、ほとんどの方がご存じありませんでした。

情報共有の呼びかけ
このような画期的な事業について、まだご存じない農地所有者の方も多くいらっしゃると思います。特に、遠方にお住まいで農地の管理にご苦労されている方々にとって、この事業は有効な選択肢の一つとなるかもしれません。もしお知り合いに農地をお持ちの方がいらっしゃいましたら、この情報をお役立ていただければ幸いです。

まとめ
農業の未来は、効率的な農地利用にかかっています。この事業を知っていただき、活用していただくことで、私たちの地域の農業がより強くなることを願っています。

 

 

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