
今回は、私が県議会で取り上げた「デジタル人材育成推進事業」についてお伝えします。
■深刻化する人材不足の現状
愛知県の基幹産業である製造業では、実に94%以上の企業が人手不足を感じています。
少子高齢化により、2050年には生産年齢人口が2021年から29.2%も減少すると予測されており、このままでは本県の産業競争力の維持が危ぶまれる状況です。
外国人労働者は増加傾向にありますが、これだけでは人手不足を補うことは難しいでしょう。
■デジタル化による生産性向上の必要性
この深刻な人材不足を乗り越えるためには、デジタルトランスフォーメーション(DX)による生産性向上が不可欠です。
特に近年のAI技術の急速な進歩は目覚ましく、ChatGPTなどの生成AIの登場によ
り、これまで人間にしかできないと考えられていた多くの業務が自動化可能になってきています。
製造現場でも、IoTセンサーやAI画像認識技術の活用により、熟練工の技能伝承や品質管理の効率化が進んでいます。
■愛知県の取り組み:デジタル人材育成推進事業
愛知県では来年度、約5,300万円の予算を投じて「デジタル人材育成推進事業」を実施します。
この事業では以下の取り組みを行います:
1.経営者向けセミナー・ワークショップの開催
・セミナー:県内各所で40回以上開催。デジタル化の事例紹介や重要性
について理解を促進
・ワークショップ:尾張・三河地域で計10回、1回あたり20人程度で開催。企業の課題解決に向けたデ
ジタル技術活用や人材育成の取り組みを促進
2.専門アドバイザーの派遣
・ITコーディネーターや経営コンサルタントなどの専門家を派遣
・1企業あたり4回程度、延べ240回の規模で実施
・企業の実情に応じた課題整理から解決策の提案までサポート
■現状の課題と私からの要望
愛知県には約20万社の中小企業があり、全国平均から換算すると約13万社以上がまだDXに取り組めていないと考えられます。
私は県議会で以下の2点を強く要望しました:
1.事業規模の拡大:
今回の事業ではワークショップ200社、アドバイザー派遣60社が対象ですが、約13万社がDXに取り組めていない現状を考えると、さらなる拡大が必要です。
2.啓発活動の強化:
多くの経営者がDXを経営上の必須事項と認識していないことが根本的な課題です。商工会・商工会議所、農協などの既存ネットワークと連携し、セミナー以外の場面でもDXの重要性を広く周知することが必要です。
おわりに
デジタル化は避けられない潮流です。愛知県の産業競争力を維持するためには、経営者の意識改革から始まる包括的な取り組みが必要です。
皆様の事業や職場でも、デジタル化についてぜひ検討してみてください。県の支援事業も積極的にご活用いただければ幸いです。