黒潮だよりNO.70「AI時代の行政改革」

今回の投稿では、先日行われた総務企画委員会で私がした質問内容を中心に、次期行革大綱におけるAIとデジタル技術の活用について、詳しくお伝えいたします。
- 次期行革大綱の概要
愛知県は、2025年度から2029年度までの5年間を計画期間とする「愛知県第八次行革大綱(仮称)」の策定を進めています。この大綱は、デジタル化、グローバル化、人口減少、SDGs、気候変動といった社会経済情勢の変化に対応することを目指しています。
特に注目すべき点は以下の3つです:
- デジタル技術を活用したDX(デジタル・トランスフォーメーション)の更なる推進
- 職員・組織のアップグレード
- 持続可能な行財政運営
これらの視点に基づき、9つの柱を主要取組事項として設定しています。
- AIとデジタル技術の活用計画
次期行革大綱では、AIやデジタル技術を業務効率化、行政サービスの向上、新たな政策課題への対応を実現するための重要なツールとして位置づけています。具体的な活用計画は以下の通りです:
- a) 生成AIの活用
アイデア創出、文章の翻訳、詳細な分析などに活用し、業務の高度化・合理化を図ります。情報漏えいや権利侵害等のリスクに配慮しながら、2024年度から本格導入が予定されています。
- b) RPA、ノーコード・ローコードツールの活用
業務フローを精査した上で、さらなる活用を進め、より多くの業務の効率化に取り組みます。これにより、事務リスクの低減を図り、職員が創意工夫を要する業務に注力できる体制づくりを目指します。
- c) ペーパーレス化の推進
デジタル技術を活用し、Web会議や大型ディスプレイの活用、電子データでの資料作成・保存方法の見直しを行います。これにより、事務の効率化、在宅勤務など多様な働き方の実現、災害時における業務継続性の確保を目指します。
- d) 行政手続きのオンライン化
インターネットを利用し、県民・事業者が簡単に安心して行政手続きを行えるよう、オンライン化をより一層進めます。各種申請や施設利用等におけるキャッシュレス決済も推進します。
- e) データの活用
県が保有する各種統計データや民間が保有するビッグデータを、県が政策立案等に積極的に活用することで、県民サービスの向上を目指します。
- f) 市町村とのDX推進体制構築
県と市町村の連携によって、AI・ロボティクス技術等を活用した業務システムの調達、デジタル人材の確保などを進め、単独では困難な取組を継続的に実行するためのDX推進体制を構築します。
- 懸念事項と課題
これらの取り組みは大きな可能性を秘めていますが、同時にいくつかの課題も存在します。委員会では、以下の点について質問し、議論を行いました。
- a) 職員の経験と判断力の維持
AIによる業務効率化が進む中で、職員が経験を積む機会が減少する可能性があります。特に、定型業務の中にも重要な学びの機会が存在することを懸念しています。
- b) AIへの過度な依存のリスク
AIの判断が常に正確とは限りません。職員がAIに過度に依存し、その判断を疑問視しなくなるリスクがあります。
- c) 新たなスキルの習得
AIが多くの業務を担うようになると、職員に求められるスキルも変化します。この変化に対応するための教育や訓練が必要です。
- 対策と今後の方向性
これらの課題に対して、県は以下のような対策を検討しています:
- a) 経験学習の機会確保
生成AIの利用により減少する可能性のある経験学習の機会を、意識的に設けることが示唆されています。具体的な方法については、さらなる検討が必要です。
- b) デジタル技術を活用した環境整備
定型業務をデジタル技術で処理することで、職員がより高度な業務や専門的な分野に集中できる環境を整備します。具体的には:
- 各局等に「デジタル化・DX推進チーム」を配置し、個別の業務課題に応じたデジタル化・DXに係る取り組みを推進します。
- 職員のICT知識向上のため、職級・業務部門に応じた研修を計画的・効率的に実施します。民間企業等と連携した実践的な研修プログラムも検討されています。
- c) AIの判断をチェックする仕組み
AIの判断に対して、職員が責任を持ってチェックする仕組みの構築が重要です。ただし、現時点では具体的な方法は示されておらず、今後の検討課題となっています。
- 私の見解と今後の取り組み
AIやデジタル技術の活用は、行政サービスの質の向上と効率化に大きな可能性をもたらします。しかし、それと同時に、職員の経験やスキルを補完する具体的な施策が必要不可欠です。
特に注目すべき点は以下の3つです:
- 経験値を補う施策の具体化:AIが担う業務が増える中で、職員が重要な経験を積む機会をどのように確保するか、具体的な方策を示す必要があります。
- AIの判断をチェックする能力の育成:AIの判断を適切に評価し、必要に応じて修正できる能力は、経験に基づくものです。この能力をどのように育成するか、明確な計画が必要です。
- 変化する業務に対応できる人材育成:AIの導入により、職員に求められるスキルは大きく変化します。この変化に対応できる柔軟な人材育成システムの構築が急務です。
これらの点について、今後も委員会等で積極的に質問し、具体的な施策の検討と実施を求めていく所存です。
皆様へのお願い
AI時代における変革は、行政だけでなく、私たち社会全体に関わる重要な課題です。民間企業や個人の皆様も同様に、AIやデジタル技術による大きな変化に直面しています。この変革の時代に、行政と民間が協力して新しい社会を築いていく必要があります。
AI時代の変革は、行政も民間も共に直面している課題です。私たちが一丸となって、この変化に適応し、新たな可能性を見出していくことが重要です。皆様におかれましても、それぞれの立場で積極的に取り組んでいただきたいと思います。
行政としては、民間の皆様の創意工夫やイノベーションを支援し、協力して愛知県の発展に寄与できるよう、環境整備に努めてまいります。
今後とも愛知県政へのご支援とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。共に、AI時代の新しい愛知県を創っていきましょう。